会報 214号 06′ 07/01

目次

巻頭随想
「晴れ、ときどきカヌー遊び」 グラフィック・パッケージ 佐々木英子
平成18年総会
4議案可決、新任理事に16名賞
審査評
「第38回 学生デザイン賞」 審査委員長 佐野正一(建築家・DAS副理事長)
都市美だより
具体的取り組みスタート・大阪市を訪問
PLAZA
高田雄吉さんに国際賞
第51回理事長杯ゴルフコンペ・宮川さんが連続優勝
訃報と悼むことば
訃報
木原卓也さんを悼む
「遺稿」 澤村洋二
「奇想天外のアイデア」 谷川順一
梅原豊和さんを悼む
「我が莫逆の友」 飯田吉秋
「梅原賞」 馬渡喜穂

巻頭随想

晴れ、ときどきカヌー遊び

グラフィック・パッケージ 佐々木英子

皆さんは、エッセイストでカヌーイストの野田知佑氏をご存じだろうか。「すぐ美味しい~♪すごく美味しい~♪」でお馴染みのチキンラーメンCMで愛犬ガクと共にカヌーに乗り、川下りをしていたあの人である。その映像は今でも鮮明に蘇る。身も心も解放されたようにゆったりと水辺を進むその姿に「同じコトをしたいな~、愛犬クロと」と何度となく思ったものである。その思いが叶って、数年前からカヌーを始めた。女性には珍しい程の乗り物好きである私にとって、カヌーは格好のスポーツだ。とはいえ白状すると、私が少女のように恋焦がれる憧れの君がカヌーイストらしいという情報を得ての言わば不純な動機も手伝っている。まあ、動機はともあれ何かを始める時のワクワク感は何度味わっても楽しいものだ。
早速あらゆるカタログを取り寄せ、無理やり巻込んだ弟分を引き連れてカヌーショップへ。そこで私はカタログでは見た事のない美しいファルトボートに一目惚れする事になる。後は迷わず「これ頂戴。まけてや!」とやってしまう私は大阪のオバちゃんそのもの。弟分だけでは飽き足らず、ショップのオヤジさんをも圧倒する迫力だ。私の選んだファルトボートはコンパクトに折り畳めておまけに担いで電車にも乗れるので、旅のスタイルも思いのままに夢広がる。話のわかるショップのオヤジさんと仲良くなった私は、まんまと山ほどのオマケを貰って気分はルンルン。草々に自宅へ艇を持ち帰り組立てた。思ったより力が必要で手間取ったが、段々とコツを掴む。そして何度となくスクールで練習もこなし迎えた愛艇の進水式。琵琶湖に注ぐ川のほとりで組立て、安物ながらシャンパンも用意して厳かに執り行った。
ドキドキしながらも穏やかな流れに漕ぎ出して行くと、陸からの視線では想像出来なかった風景が次々と目の前に広がり、自然との一体感にただただ心が解き放たれていく。大木が織りなす木陰では、吹抜ける風にそよぐ葉ずれの音が心地よい。今では私の心の中だけに生きる愛犬クロの存在を身近に感じながら水辺にたゆとう至福の時間。突然の来訪者に驚く事もなく、招き入れてくれた野鳥や魚たちにも感謝の気持ちでいっぱいになる。
最近では自宅から車で約15分の淀川・城北公園から艇を降ろし、鳥飼大橋まで行っては折り返し…と気軽にカヌーを楽しめる腕前になった(?)。相変わらず相棒は憧れの君ではなく、無理やりこの道に引きずり込んだ弟分ではあるのだが。カヌーは道具一式揃えてしまえばすぐ始められ、後は殆どお金がかからないし、身近な場所で自然との一体感を満喫できるスポーツでもある。今から何か始めたいと思っている皆さん。カヌーイストの仲間入りを考えてみられては如何だろうか。

兵庫県生まれ。奈良芸術短期大学グラフィックデザイン科卒業。(株)東急エージェンシーインターナショナル、(株)サンデザインアソシエーツ、(株)コーヨー21を経て、クリエイティブハウスサーヴ設立、現在に至る。主な仕事にグラフィック&パッケージデザイン、店鋪プランニング、空間デザインを手掛ける。

平成18年総会

4議案可決、新任理事に16名賞

平成18年DAS通常総会は5月25日(木)午後4時から、大阪市北区のクラブ関西で開かれ、4議案を上程、審議した。
出席会員は81名(委任状提出者68名)、近畿経済産業局産業振興部サービス産業室の谷原秀昭係長ら7名が来賓として臨席。
佐治信忠理事長が挨拶の後、定款に基づき議長となり開会。第1号議案「平成17年度事業報告並びに収支決算の件」、第2号議案「平成18年度事業計画並びに収支予算の件」を審議の結果、原案通り、全会一致で可決した。
第 3号議案は「任期満了に伴う役員改選の件」を上程。平成17年8月定例理事会で承認された佐野正一議長提案のD会員の新しい理事選出方式(推薦性)などに基づき選ばれた新任理事候補16名、新任監事候補1名、再任理事候補27名、再任監事候補1名から成る原案を満場一致、可決・承認した=下表参照。
第4号議案は「顧問及び参与委嘱の件」で、長年、副理事長並びに理事としてDASの発展に尽力した4名のうち佐野正一氏を顧問に、粟井隼一、多井幸男、近藤年子の3氏を参与に佐治理事長が委嘱することを全会一致で承認、午後4時45分閉会した=下表参照。
このあと、会場で新理事による理事会が開かれ、理事長、副理事長、専務理事、常任理事を下表の通り、互選した。

新役員(平成18年5月25日就任)

理事長
佐治信忠
副理事長
谷川順一、山崎一夫(新任)
専務理事
黒田耕太郎
常任理事
飯塚文男、大門敏彦、西尾直、吉川博教
理事
荒木志華乃(新任)、 飯田吉秋、 池永昌隆、 伊藤芳明、 今竹翠、 植松曄子(新任)、 植松豊行、 太田隆信、 大森重志、 加藤芳夫(新任)、 刈田晃(新任)、 金野隼人、 見上隆夫(新任)、 鴻上和雄(新任)、 小林敬一郎、 小森純夫、 坂本忠敬(新任)、 佐々木煕、 澤村洋二(新任)、 嶋高宏、 杉崎眞之助(新任)、 鈴木敬吾(新任)、 千田要宗、 多田愛実、 田村昭彦(新任)、 塚本邦彦、 坪文子(新任)、 富本公子(新任)、 中川文雄、 野口正孝(新任)、 原英雄、 松本和比古(新任)、 丸山功、 山崎泰孝、 山本雅弘(新任) (以上理事計43名)
監事
宮井洋、三宅修平(新任)
顧問
佐野正一(新任)
参与
粟井隼一(新任)、 多井幸男(新任)、 奥村幸一、 近藤恒夫、 近藤年子(新任)、 千田甫、 早川良雄、 平松保城、 山北栄寿
審査評

「第38回 学生デザイン賞」

審査委員長 佐野正一(建築家・DAS副理事長)

時代の表現 思うままに
今年のコンペには全国76校から292点の応募があった。応募の多かった昨年とほぼ同じである。デザイン目指す意欲いよいよ盛んなことを喜びたい。新しい時代には新しいデザインが必要だ。新鮮な素材と身につけた技術を存分に振るって、時代の表現を思うままに広げる。それこそ若人の使命である。
応募作品は専門分野ごとにDAS会員の厳しい第一次審査を経て95点に絞られ、5月9日の総合審査で「金の卵賞」1点と部門賞8点、特別賞1点および入選76点が決まった。
グランプリ「金の卵賞」になったのは西家遼太郎さん(インダストリアル部門)の「TOMICO」で、基本となる四つの彩色したフェルト板を木ネジでつなぎ合わせて、多様な造形を自らつくりだす工夫をする玩具である。発想は特に目新しいものではないが、母親から与えられ、子供から孫へ伝えることを願う作者の気持ちがにじむ入念な制作が共感を呼んだ。
次に部門賞作品。桂木絢子さん(グラフィック・パッケージ部門)の「ANIMALFONT」は動物を用いたアルファベットタイポグラフィで、絵本と宣伝ポスターを添える周到な作品。松尾啓太さん(インダストリアル部門)の「シティコミューターパセオ」は、バッテリー電源の市内向け簡易な乗り物。レンタル使用可能の機能を考えている点に特色がある。_修演さん(服飾部門)の皮膚と一体化した衣服は、二枚の方形布地を用い、細かな切り込みと織り込みで自体を再構築する方法で新しい感覚の制作。加藤薫さん(テキスタイル部門)の「奏装op.・」は綿、ウールを素材に二重織で薄いフェルティングで透過効果を考えた制作。幅約60センチ長さ約8メートルに及ぶ大作。美しくデリケートさが高く評価された。植木秀治さん(写真・映像部門)の「スリーアクターズ」は、丸、三角、四角の基本図形を用いて、多様な変化と組み合わせで楽しめる映像をつくることに苦心した制作ぶりが評価された。中西正佳さん(建築部門)の「FORESTED」は、都市のなかに森を残し、森の住居施設をつくる構想。箕浦陽亮さん(商環境部門)は飲食施設に曲線を組み込んだ新しい室内構想の提案。田村充さん(クラフト部門)の「月の記憶」は月あかりを構想したセンスのよい制作として評価された。
増山武・佐藤愛さん(建築部門)はオフィス計画の新しい構想が注目される。遠い海外から応募した労作として格別に部門賞に準ずる特別賞を贈ることとした。
以下、多数の入選作については遺憾ながら紙幅の都合で批評を割愛する。
末筆ながら本コンクール開催につきご協力下さった各位に深く感謝申し上げる。

審査員(敬称略、◎は総合審査員兼務)
【審査委員長】◎佐野正一【グラフィック・パッケージ】◎大門敏彦、◎大森重志、山田崇雄、越田英喜、鹿目尚志【インダストリアル】◎多田愛実、◎植松豊行、喜多俊之、井上斌策【服飾】◎近藤年子、◎木村益子、◎小田順子、山本昌子【テキスタイル】◎鈴木洋行、◎平岡美子、仲西多美子【写真・映像】◎吉田幸一、◎鴻上和雄【建築】◎佐野正一、◎太田隆信、◎山崎泰孝、小林敬一郎【インテリア】◎渡邊敏雄、◎柴野晶子、旦哲男【商環境】◎粟井隼一、◎原英雄、見上隆夫、福村保【クラフト】◎熊谷皓之、◎夏原晃子、川本蓮、坪文子【総合】 ◎今竹翠、◎鈴木敬吾(毎日新聞学芸部長)

都市美だより

具体的取り組みスタート・大阪市を訪問

都市美委員会(千田要宗委員長ら11名)はいよいよ「大阪の緑」との取り組みを具体的にスタートする。その第1段として、8月8日(火)午後5時から、大阪・南港のWTC17階の「大阪市ゆとりとみどりの振興局」を訪問、大阪市の公園作りについて聞く。

PLAZA

高田雄吉さんに国際賞

高田雄吉さん(GP)制作のポスター「Life of Earth」=写真=が優れたコミュニケーションデザインに贈られる国際賞「red dot design award 2005」(本部・ドイツ)を受賞した。

第51回理事長杯ゴルフコンペ・宮川さんが連続優勝

第51回理事長杯ゴルフコンペは5月11日、兵庫県東条町のタイガースゴルフクラブで行われ、宮川憲明さん(CS)がN77で50回に続き優勝、優勝回数を5に伸ばした。
参加は8人と少なかったが、常連だった西尾直、大浦丈史郎両氏に代わって、久しぶりの宮垣義次さん、初出場の小山正さん(サントリー)が参加、フレッシュな空気の中、試合開始時には雨もあがり、まずまずのコンディションでプレーを楽しんだ。懇親会では、世話人の福田武さんから理事長杯に続いて、サントリー、毎日新聞社提供の豪華賞品が全員に手渡された。

参加者
宮川憲明、小山正(N76だったが、初参加のため規定により2位)、福田武、宮垣義次、黒田耕太郎、北島久嗣、飯田吉秋、深井郁子(敬称略、ネット成績順)DC宮川、宮垣◆NP飯田、北島◆BG福田、北島(ともに86)

訃報と悼むことば

岡橋作太郎さん 参与

(D会員・AR)
1月29日、逝去。99歳。日建設計会長、同社相談役、銭高組技術顧問など歴任。昭和31年のDAS創立以来の会員であった。

林大功さん 参与

(D会員・TX)
3月28日、逝去。91歳。(社)日本図案家協会会長、日図デザイン博物館館長など歴任。岡橋さんと同じDASの創立会員で、理事を務められた後、昭和55年から参与。6月23日~25日、京都・日図デザイン博物館で回顧展が行われた。

木原卓也さん

D会員・OT
6月3日、逝去。57歳。⑭キハラプロジェクトオフィス代表取締役。DASには昭和61年入会。会報211号に「石津謙介さんをしのんで」を寄稿され、DAS50周年記念誌の執筆責任者の一人でもあった。

梅原豊和さん

D会員・GP
6月14日、逝去。64歳。⑭スタジオ・リム代表取締役会長。DASには昭和59年入会、ホームページ設立・編集に尽力され、最近は創立50周年記念事業実行委員会国際交流部会長として活躍されていた。DASゴルフコンペの常連で、優勝3回。

木原卓也さんを悼む

遺稿 澤村洋二

木原さんと、亡くなる前夜、電話で打ち合わせをした。いつもの知的な話し振りだったのに、翌日の昼過ぎに突然、亡くなられるとは。人の命は儚いというが、それにしても過酷ではないか。まだまだ、やるべき仕事が山ほどあった浪漫溢れる木原さんだ。
DAS50周年テーマは、「守・破・離」である。これから「離」を目指すべきDASにとっても大事な人であった。記念誌「DAS関西デザインの50年」に掲載される木原さんのダンディーな文章が遺稿となった。心からご冥福をお祈りする。
(理事 澤村洋二=D会員・OT)

奇想天外のアイデア 谷川順一

近い将来、地球上の人間が水不足で飢饉となり、人が作ったゴミ・廃棄物の処理に困るときが来ると叫んで、地球環境を護る運動をしたデザイナーであった。そして、NPO法人ガイアアクセスを設立し、国連の地球環境計画局の後援を取り付け、花博会場で水とゴミをテーマとしたイベントを行ったことを思い出す。奇想天外のアイデアが出る先見性に優れた人であった。もう少し生きていてほしかった。
(副理事長 谷川順一=D会員・TX)

梅原豊和さんを悼む

我が莫逆の友 飯田吉秋

梅ちゃん。こんな切ない別れは本当に耐えられない。梅ちゃんの病気を知ってから、いつかこの日がくるものと覚悟をしていたが、余りにも泉途に赴くを急がれた。仕事仲間として、ゴルフ仲間として公私共に私にとってかけがえのない友だった。そして多くの友人を紹介しあい、思い出に残る日々を過ごした。
6月10日最後の友の集まりとなった。2時間近く、過去のことやこれからのこと、病魔の中、君は熱く語った。いつも人情味厚く、誰に対しても誠心誠意、公平無私であった。そして、誰もがその風格を親しみ、その徳を慕っていた。目をつぶると「よっ」「おっ」と挨拶する梅ちゃんの明るい声が今でも聞こえてくるようだ。君の影響は今も大なるものがあり、君を頼りにしている人々は数多い。真剣に生きようとした君の姿は、私たちの心の中にいつまでも生き続けるだろう。
(理事 飯田吉秋=D会員・ID)

梅原賞 馬渡喜穂

2000年DAS国際交流韓国視察旅行では色々とお世話になり、DETRA会長の奉相均氏とKIDPメンバーの会合では楽しい一時を過ごすことが出来た。
梅原氏は以前より、奉氏の依頼で韓国の若手デザイナーを多く育てられた。その功績を評価して、DETRAは梅原賞を設けている。2004年のDETRAとの国際交流展など、韓国との交流事業では大変貢献された。
あなたとはDASの事業も数多く参加してきたが、昨年暮れのキャンドルナイトが最後となってしまった。ゴルフが好きで、60歳で京都でのハーフマラソンを完走されるなど、いつも活動的な人だった。そんなあなたとの思い出をしのびつつ。
(馬渡喜穂=D会員・CR)